第一章 見上げる光景痛みには様々な原因があり、それに有った治療が有る。大きく分け、器質的な原因、機能的な原因、心因がある 器質的とは解剖学的に見ての損傷などで、機能的とはそれとは関係なく本来の働きや能力の事で、腰痛の場合の器質的障害とは腰椎の損傷、ヘルニア等が有り、機能的障害とは、筋肉のこわばりや弱体化等が有る 心因とは、そのものずばり「心」・・・感情に原因が有る 器質、機能ともハード面でのアプローチが有効だが、心因だけはそう言うわけにはいかない。 病気や痛みに逃避してしまう、そうでないと耐えられないほどのストレスが原因であり 厄介なことに、そのことが全く意識されていないのがほとんどで、疾病逃避、心身症と言われている 書き出しは 私は1993年1月から約3年間、原因不明の激しい腰痛と、それに伴う怪奇さえ感じられるほどの異様な症状や障害に悩まされた。 考えられる限りの治療―最後に、どうしても最後まで信じられなかった唯一の正しい治療法にたどり着くまで―を試みたが、何一つ効はなく、症状はじりじりと不気味に増悪した。 私は心身共に苦しみぬき、疲れ果て、不治の恐怖に脅かされ、時に死を頭に浮かべた。 その後この三年間の闘病の様子が克明に描かれている。 第一章の書き出しが この記録はもしかしたら私の遺書になるかもしれないし、 あるいはまた、私自身の回生のきっかけを与えてくれるかもしれない。 とりあえず、現在の私に肉体的状況を記してみよう。 毎日毎日、ほとんどの時間、腰の痛みにさいなまれている。 痛みの質や程度は時によって違うが、腰全体が活火山になったように熱間を伴ってガンガン痛いときや、骨にひびでも入るようにミシミシ、しんしんと痛むとき、あるいは尾てい骨のちょっと上がなんとも頼りない感じでボワッと痛んだり、かと思えばおへその真後ろ位の高い位置が、もう身体を支えていられないといわんばかりに怠痛かったり・・・ 痛みはベッドの中で目覚めた直後から始まる。 このころでは朝起きる気力を奮い立たせるまでがなかなか大変なのだが、かと言って、ゆっくりベッドにとどまっていることも許されない。 目覚めた直後から発生する痛みは背中の辺りまでどんどん増幅して、どうしても寝ている状態に耐えられなくなってくるからだ。 そこでとにかく起き上がって、着替えをするが、すると再び痛みが頭をもたげ、加えて背中を立てていることがなんともだるくしんどく、まもなくまたその辺に横になる。 今度は不思議にベッドの中のように寝ていられないということはないのだが、結局朝から晩まで、ほとんどの時間、身体をエビのように曲げてじっと横たわって耐えている以外に何もできないという日も少なくない。 どんな鎮痛剤も、座薬も注射も私には効かない。 ・・・・・ もう一つの大きな障害は、いすに腰掛けられない事である。 この書き出しを読んだだけで、何か自分自身腰も痛みだしたように思うほどの、ひどい腰痛であることがわかる。 |